少し時間が経ちましたがクリスマスにEARS編集室さんより、イベントレポートが届きました。
しわしわと日常へと育てていく水辺の街のマーケット
『KURASHI SHIWA2 MARKET vol.0』イベントレポート
素敵な日用の品を取り揃えている徳島の雑貨屋さんやセレクトショップはたくさんあるけれど、一日で巡るのは距離的にも時間的にも難しい。
それならば、日常のマーケットとして“いいもの”をひとつの空間に集めましょう。
と、提案するかのように始まったのが、2018年11月17日(土)・18日(日)に行われた『KURASHI SHIWA2 MARKET vol.0』だ。
会場となったのは水辺の倉庫街・徳島市万代中央ふ頭。その一角に佇む徳島家具のショールーム「+aswood」で開催された。+aswoodを運営する鎌田耕志さんと建築家の髙橋広樹さんがこのマーケットの仕掛け人でもある。
KURASHI SHIWA2 MARKETの大きな目的は「日々のくらしを ほんのすこし ゆたかに」すること。丁寧に時間をかけて生みだされた“手しごとの品”をキーワードに、あらゆるジャンルの徳島のお店や作家さんのアイテムが集結した。ふだんからいいものだけを仕入れているセレクトショップがさらにセレクトを加えた、選ばれし“いいもの”が一堂に揃うというわけである。だからこそ、プレ的な意味合いを持つvol.0のテーマには「とくしま標本箱」が掲げられている。
標本箱には11の出展者が集まった。
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をちこち 遠近(徳島市上八万町)
出展品:阿波藍手ぬぐい
地場に根ざすいいものを中心に全国から集めた器や民藝品を取り揃える。喫茶スペースもあり。
シモノロ・パーマネント(三好市池田町)
出展品:手作り雑貨、にし阿波の特産品
山あいの廃校、旧下野呂小学校を改装した物・食・学がテーマの複合施設。ハレとケ舎プロデュース。
Katy.(小松島市)
出展品:オリジナルアクセサリー
ヴィンテージ感漂うデザインのアクセサリーをカフェ・こはくの天使の一角で販売中。
ツバメとあじさい(徳島市昭和町)
出展品:焼き菓子・セレクト雑貨
出会いをコンセプトに「人と人」「人とモノ」をつなぐセレクト雑貨のお店。
PONT NEUF(徳島市東新町)
出展品:オリジナル雑貨と藍セレクト
「PONT NEUF」はフランス語で「新しい橋」という意味。商店街の玄関口として服飾雑貨のアトリエ、シェアカフェ、貸しギャラリーなど様々な顔を持つ。
visionary scheme Riu(小松島市)
出展品:アイアン・古材家具
古めかしさと新しさを融合させたオリジナル家具や真鍮アクセサリーなどで人気を呼ぶ。
陶工房 祐(徳島市上八万町)
出展品:青色基調の器や小物
全国の窯場をまわって腕を磨いた矢野祐志さんの器。工房はうつわの店と陶芸教室を兼ねている。
靴庭(吉野川市鴨島町)
出展品:手づくり革靴・革小物
一人ひとりの足に合わせたオーダーメイドシューズを製作。その他、レザークラフトを手がける。
トータス(海陽町)
出展品:肌着・衣料雑貨・お茶
県南の老舗肌着メーカー。自社で育てた藍で染色した肌着やプロダクトを海陽町から発信。
9k(無店舗型)
出展品:絵本(古本)
「えほんとだがしとものづくり」をテーマに絵本の販売だけでなく、読み聞かせやだがし屋さんをやるなど、多方面で活躍中。
MACOROON(無店舗型)
出展品:オリジナル藍染文具・アクセサリー・スカーフ
染色作家。とくしまの藍ならではの色合いや風合いを感じられる文具やアクセサリーを創作。
+aswoodは万代地区最古の倉庫。建物としての重厚な佇まいと、昭和36年から水辺の街を見守りつづけてきた歴史を持つ。昔、万代町が物流の拠点だったのは徳島で上質な家具が作られていたから。もう一度、この地から一生ものの家具を届けようと、何十年も愛用し続けられる家具を展示販売している。
そのため、KURASHI SHIWA2 MARKETの開催中も、+aswoodでふだん取り扱っている家具が出展品と一緒に並ぶ。イベントとして限定的な空間を作り上げるのではなく、より日常に近い形でマーケットを展開するのが信念。マーケットは市であり、市は日常の暮らしに当たり前にあるものと主催者の鎌田さんと髙橋さんは捉えているからだ。
出展しているお店や作家さんにブースは設けられていない。ディスプレイに使用するのは+aswoodが普段扱うダイニングテーブルやチェア、ソファなど。趣きのあるテーブルに柔らかな雰囲気の器が並んでいたり、ナチュラルな質感の椅子に体に優しいお茶の茶葉が座っていたり、なかなかお目にかかれない組み合わせばかり。+aswoodの家具も出展されている雑貨も、ふだんのお店で眺めるときと表情が違って見えて面白い。そして何より暮らしの想像がかきたてられる。マーケットをきっかけに出展しているお店や作家さんの魅力を伝えることも、KURASHI SHIWA2 MARKETの意義のように感じさせられた。
2日間のために作られたショップ袋ならぬマーケット袋には出展者のロゴとKURASHI SHIWA2 MARKETのダブルネームで記されている。
KURASHI SHIWA2 MARKETが目指すのは、もっともっと徳島の日常に溶けこんだマーケットになること。vol.0はプレとして+aswood内だけの開催だったが、今後は向かいにある広場「アクアチッタパーク」を拠点として多彩な体験が叶うエリアになるよう仕掛けていく。
「例えば、アクアチッタパークのコンテナ倉庫でこども家具の販売やまちなか案内所を開いたり、共有キッチンを設置して青空ウェディングを実現したり、いろんなアイデアを形にできる民間のシェア公園にしていければ」と主催の2人は展望を語る。
この日は同時開催されていたアクア・チッタフェスタに公園を貸出し。
アクアチッタパークにお目見えした幻想的なコンテナ美術館。
vol.1、vol.2とKURASHI SHIWA2 MARKETは進化を重ねながら続いていく。ゆくゆくは月2・3回のペースで開くのが目標。その実現のためにも2月にクラウドファンディングを行い、公園の整備費を集めていく予定だ。
万代中央ふ頭に行けば何か楽しいことが待っている。面白い人たちに出会える。
誰もがそう思い浮かべる賑わいスポットになる日はきっと近い。
(文:EARS編集室)